仙台猿員

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誰か迷彩を思わざる

保育士と出会ったのは、2年前の今時分のことでした。

20年以上のキャリアを誇るわりにそんなにバスケが上手ではない僕ですが、コミュニケーション能力の高さと思慮深い性格と責任感の強さを買われてチームの管理と運営を任されています。つまり代表、トップ、組織の長ということです。前任者から引き継いでかれこれ5年、時に苦心しながらもなんとかまだ継続できています。

この辺はそうですね、かつて勤めていたブラック企業(飲食)で店長的なポジションにさせられて、一癖も二癖もあるアルバイトやパートタイマーを統率していた経験が活きていますかね。早出残業休日出勤は当たり前、酷い場合は2日連続で22時間勤務とか、2ヶ月連続で休日が1日だけとか、本当我ながらよくやっていましたよ。まだ19歳や20歳だった頃に。夏のボーナスが僅か5000円なんてこともありました。マジでブラック。でもまあ、劣悪な労働環境や人間関係等々、色々と世の中の厳しさや理不尽さを経験しておいた方がそれなりに糧にはなりますね。はい。

それはさておき、そんな僕のチームに保育士が初参加したのです。

当日は他にも初参加の方が数名いたこともあり、軽く挨拶と説明だけしてあとは適度に気遣いながらプレーしてもらいました。そこそこ可愛い子でしたが、髪型がショートヘアーではなかったせいか特段興味を示すこともなくてですね。まあ、そもそもショートであろうがロングであろうが、今後も継続的に参加してくれるかまだわからない相手に入れ込みすぎるのはよくないですからね。基本的に。

それで練習と後片付けが終了した後、座り込んで最後の事務作業をしている際に、不意に保育士から「リーモさんお疲れ様です、今日はありがとうございました!」と声を掛けられたので、作業の手を一旦止めて顔を上げると、ちょうど僕の視線の先にウッドランドカモ柄のスカートがありました。そう、いわゆる迷彩。そこから視線を若干下げると多分60デニールの黒タイツ、再度上げてみるとニットを着用していることが確認できたのです。ニットのカラーはヘザーグレーでした。

「(来たときは上下ジャージだったけど着替えたのか…^^)」と心の中でアレしつつ、視線を保育士の顔まで一気に上げてから「こちらこそどうも、よかったらこれからも来てね^^」と努めて爽やかに言うと、「はいっ!よろしくお願いします!!」と元気な返答と共にこの日一番の笑顔を見ることができました。そして、軽快な足取りでエントランスホールに向かう保育士を見送った後、僕は「(あのカモ柄のスカートにどんな靴を合わせているんだろう…^^)」と気になって仕方がなかったのです。脳裏に焼き付いて離れなかったのです。カモ柄のスカートが。

そのひと月後、合コンで知り合った年上女性とデートしたら授業参観みたいなクソダサい服装で来られたり、先輩からの紹介で渋々デートした年上女性も絶望的なまでにクソダサい服装だったことから、やはりカモ柄スカートの保育士こそが僕にとって理想的な存在であり、ガチのマジで結婚を前提としたお付き合いを目指して本気を出すことにしました。年が明けてから。

また、それは保育士が継続的に練習に参加してくれているというアレもありました。もしお付き合いすることができたとしたらそうですよ、デートの締めにバスケで汗を流したり、互いに結構本気で1ON1なんかしたり、練習後にファミレスとかで晩飯を食べたり、ゼビオにバスケ用のウェアーを買いに行ったり、NBA関係の動画を一緒に見て感嘆したり研究したり、さらに結婚式では新品のバスケボールを用意してゲストの皆々様方に祝福メッセージを書いてもらったりYESYESYES!!!!!

そう、そんな素晴らしい未来が待っているのです。

チームの代表でトップで組織の長とはいえ、大多数のメンバーが既婚者や恋人持ちばかりなため、バスケに打ち込んでもどこか満たされないというか何とも寂寞たる思いがありました。しかし保育士との交際によって、これまでの孤独で切ないバスケライフが一変するのです。

そして年が明けてから、プライベートな会話や技術指導等で積極的にコミュニケーションを図っていきました。まあ、本人や他のメンバーに怪しまれない程度にですが、きちんと段階的にプロセスを踏んでデートにまで漕ぎ着ける算段でいました。だからまず、そのファーストステップとして打ち解け合ったフレンドリーな関係性の構築に着手していたのです。その成果として、昨年まで名字(さん付け)で呼んでいたのを名前(ちゃん付け)で呼べるようになりました。また、チームのLINEグループへの参加名目で体よくLINEも交換しました。焦らず順調に、それでいて抜け目なく…。

正直、彼氏はいないと思いました。土日関係なく毎回休まず練習に参加してくれるアラサー女子にいるはずがない、と。だから彼氏の有無なんて訊かずにいました。

でも、彼氏、いたんですよ。

彼氏は別のチームでバスケしていて、そっちの定員が一杯だから僕のチームに来たんだと。ああ、そうかい。そりゃあよかったね。大体にして顔がそこそこ可愛くて、カモ柄スカートを穿きこなすおしゃれな子である。それで彼氏がいないはず、ないですよね。たとえ熱心にバスケに時間を割いていたとしても。常識的に考えれば。

後々に一部の親しいメンバーにこの顛末を話したら、「別に彼氏がいてもいいじゃないですか」とか「デートに誘うだけ誘ってみたらいいじゃん」とか言われましたけど、事前に彼氏がいることを知り得ていた上でNTR方面にエネルギーを注ぐならまだしも、彼氏がいないと思い込んでシミュレーションしていたところで実は彼氏いましたなんてオチでは超ショックですよ。やる気なくなりますよ。ただ、土日関係なく毎回休まずに練習に参加してくれるそこそこ可愛いおしゃれなアラサー女子に対して、きちんと確認すらせずに彼氏はいないはずだと一方的に都合よく決めつけて、常識を疑わずにいた僕もダメでした。ウンコでした。

彼氏が発覚して以降、完全に醒めて情熱を失った僕は露骨に話しかけることもなくなり、それが原因ではないと思いますが保育士も徐々に参加ペースが鈍っていきました。きっと彼氏の所属するチームの定員に空きができて、そちらに参加するようになったのでしょう。最後に保育士が来たのは、1年前の今時分でした。あとはもう見ていません。


保育士の一件から半年後、僕は女子大生に夢中になっていました。

メンバーからの紹介で参加しはじめた女子大生でしたが、溢れる若さと技術の高さと謙虚な性格でたちまち皆からの注目の的となりました…。

ただ、自分的にはそこまで気になる存在ではありませんでした。女優の黒木華と同系統の地味な顔立ちは嫌いではなかったのですが、髪型はミディアムボブで化粧っ気もほとんどなく、服装もジャージやスウェットといった部屋着と大差のないようなものでしたから、単純に好みか好みではないかと問われたらばそう、好みではないと。まあ、メイクと服装をばっちりきめてバスケをしに体育館に来ること自体が間違っていますが。根本的に。冬場はそうでもないですが、夏場とかメイク落ちますからね。汗で。

しかし、主催したチームの飲み会にも参加してくれた女子大生は、普段の地味なイメージの彼女とはまったくの別人でした。メイクといい、服装といい、なんというかこう狂おしいほどに"女子大生"でした。おしゃれで可愛らしくて目映いほどに"女子大生"でした。驚嘆するほどにナウでヤングな"女子大生"でした。ポテンシャルの高さは感じてはいましたが、正直ここまで化けるとは思っていませんでした。まさに劇的ビフォーアフターでした。

チームの代表でトップで組織の長という立場を有効に利用して、僕はそんな女子大生を一次会後半から二次会まで終始独占して沢山の言葉を交わしました。バスケのこと、音楽のこと、ファッションのこと、ライフスタイルのこと、過去の恋愛のこと――。

それで飲み会の翌日、僕はもう一度あの"女子大生"と出会いたい、隣に並んで仙台の街を歩きたい、あわよくば男女交際がしたいと強く願いました。とにかく女子大生のことが四六時中頭から離れず、気になって気になってどうにかなってしまいそうでした。そうですね、だからこそLINEではなく二人きりの場面で女子大生に直接、自分の言葉でこのエモーションをきっちり伝えたいと思ったのです。たとえばいつもの練習終了後に、駐車場とかで。

ところが、そういう時に限って女子大生が来なくてですね。ええ。

まあ、飲み会の時に「来月から少し忙しくなるので、もしかしたらしばらく行けないかもしれません…」と言われていたのでノープロブレムでしたが、それにしても間が悪いというかなんというか。諸々と不安な日々を過ごしました。

そして「(今日も来ないんだろうなあ…^^)」と項垂れてはプレーにも精彩を欠き始めていた頃、多忙の合間を縫ってようやく女子大生が来てくれたのです。僕が熱望しているあの時の"女子大生"ではありませんでしたが、それでもひと月半ぶりに会った女子大生のライブ感や愛おしさときたら筆舌に尽くしがたいもので…。さらに髪型をこれまでのミディアムボブからショートヘアーにしていたのです。ショートヘアー。しかも、黒髪。

それは美しく、眩しく、衝撃的なショートヘアーでした。

そんな黒髪ショートヘアーの女子大生が他のメンバーと談笑している光景を横目に、僕は体育館内の少し離れた場所で大して興味がないという風に装いながら感動に震えていたのです。飲み会の時に「おじさんはねえ、黒髪ショートヘアーの女の子が好きなんだよ^^」と女子大生に伝えていたからこそ――。

そうして練習終了後、駐車場に向かおうとする女子大生を引き留め、いざ面と向かってデートに誘おうとしたのです。ところが、そういう時に限っていつもはまっすぐ直帰しているメンバーが残って駄弁ってたり、わざわざ僕を探して帰りの挨拶をしにきたり、言いかけようとしたタイミングで帰り支度の遅いメンバーがわらわらやってきたりした為、結局デートに誘うことができずに女子大生には後日LINEする旨だけ伝えました。

まあ、結果は言うまでもありませんね。はい。

そうですねー、どうしてデートに行くことが出来ないのかを懇切丁寧にわかりやすく説明した上で、僕のようなキチガイを刺激しないように慎重に言葉を選びながらもはっきりと拒絶の意向を示し、それでいて自分の印象を悪化させることなく完璧にまとめた素晴らしい文面で断られました。さすが大学に通っているだけありますね。本当、レイプして殺してからまたレイプして殺したい。

見事に失敗に終わったことにより、かつてないほどの猛烈な自殺衝動に駆られてしまったのですが、すぐに知人のシングルマザーにLINEして慰めてもらうことで平静を取り戻しました。また、首都圏在住の後輩(♂)にも「気分転換に東京行くから相手してくれ…^^;」とLINEしてみたら二つ返事で快諾、とりあえず立ち直ることにしました。

女子大生は今も変わらず練習に参加してくれています。しかし、僕は保育士の時と同様にこれまた露骨に話しかけなくなりました。迂闊に会話しないとも言いますか。最近は比較的マシになったものの、一時期は名前を呼ばなかったり、パスを出さなかったり、LINEを非表示にしたりと、事情を知っているメンバーから苦言を呈されたほど全般的に陰湿に対応していたアレもありました。でも、これがお互いにとってベストなのかもしれません。

あとはまあ、飲み会からデートに誘うまでのひと月半、僕は凄まじい勢いで服を購入していました。16AWの入荷が活況を呈していた背景もありますが、何といっても女子大生とデートに明け暮れる未来を想定してのそれが最大の理由ですね。アウターにシャツにスウェットにボトムにハットにキャップに総額で20万円分ぐらい購入しました。

しかし、結果的に全て手放しました。何も残っていません。

女子大生とのデート(可能性)が潰えてしまった時点で、精神的に辛くなって着用できなくなってしまったのです。ついでに言うと飲み会の時に着ていたシャツまで手放しています。呪われたシーズンです。だからマジで20万円分ファックさせろ殺すぞって感じです。その中でも、マルチカム迷彩に一目惚れして購入した某ブランドのアウター。通販で購入して手元に届いたのが、よりによって女子大生に断られる前日というバツの悪さ。それでも東京に着ていくつもりでいましたが、結局東京へは別のアウターで行くことになり、さらにスタジャンなんて購入してきたから完全に出番がなくなり…。


というわけで、随分と長い前振りになりました。

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・TRAINER SHIRT COTTON RIPSTOP
今や定番と化しつつある襟リブシャツ。もしくはスタジャン風シャツ。そして、敢えてのウッドランドカモ。素材はコットンリップストップ。nonnativeのカットソー類と同様に裾にスリットが入り、前後で着丈が異なるディテールが取り入れられています。また17SSでは貝ボタンが使用されていましたが、今シーズンはスナップボタンに変更となり、着脱および開閉がより容易になっています。さらに胸ポケットまで追加されまして、実際のミリタリーウェアさながらとは相当言いすぎかもですが、全体的に実用性の高い仕上がりです。特に胸ポケットは喫煙者の自分にとって非常に重宝します。タバコの箱が収まるので。ちなみにサイズは1です。例によって。

昨年、保育士(ウッドランドカモ)と女子大生(マルチカム)から迷彩柄に対するトラウマを植え付けられましたが、こうしてまた迷彩柄にチャレンジすることにしました。

先月下旬に購入しましてすでに着用機会も得ていますが、これまでにない新鮮味があって中々に悪くないです。季節的にも気候的にも今の気分にぴったりなシャツです。真冬もインナーレイヤードとして活用できそうなので結構楽しめるかと。

そうですね、ウッドランドカモ柄のスカートの中に手や顔を突っ込むことは叶わず、マルチカムも一度も外で着用することなく終焉を迎えてしまいましたからね。あらゆる意味で、僕は味わえなかったのです。味わうことができなかったのです。ああ、誰か迷彩を思わざる。